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土地活用が有効な「相続税対策」と言われる理由【税理士の解説】

ガレージハウス 土地活用

  • 公開日 : 2024.5.15
  • 所要時間 : 10
この記事の監修者
西口 孟志税理士西口 孟志

土地オーナーにとって、相続税対策の王道といえる土地活用。そもそも土地活用をすることで、なぜ相続税対策になるのでしょうか。西口孟志税理士がその理由とともに、相続税対策を目的とした土地活用の注意点を解説していきます。

相続税の「仕組み」と「計算方法」

相続税を計算する場合、まずは財産の「相続税評価額」を計算します。

【土地の相続税評価額の計算式】
自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

自用地の評価額は、地域によって「路線価方式」「倍率方式」のいずれかが定められているので、指定の方法で計算を行いますが、通常は市場価格の70%~80%の金額になることが多いです。その土地を人に賃貸しているときは、さらに借地権や借家権の割合に応じて評価額が減額されます。借地権は地域によって30%~90%の割合が決められており、借家権割合は全国一律で30%です。賃貸割合は全部屋のうち何部屋賃貸中かという割合ですので、満室であれば100%で計算します。

また、賃貸している土地の相続に関しては「小規模宅地等の特例」という優遇制度適用ができることがあります。相続人が賃貸事業を継続することや、適用できる土地の面積が200m2までであることなど、いくつかの要件を満たしていれば、相続税評価額を50%軽減することができ、非常に大きな節税効果をもたらします。

【相続税の計算】
(相続税評価額-基礎控除額など)×相続税の税率

土地活用で「相続税が安くなる」理由

空き地のままの状態と比べて、土地活用をすることで相続税評価額を軽減できます。また、相続税は累進税率が採用されており、財産の相続税評価額が高ければ高いほど、高い税率が適用されます(最大55%)。そのため、相続税評価額が50%軽減できれば、実際の相続税は50%以上軽減できる可能性が高いのです。

相続税評価額を最大限軽減するためのポイントは、建物の敷地として賃貸することです。ガレージハウスなどの建物の敷地として賃貸することで、借地権や借家権の割合の分を相続税評価額から減額することができ、さらに小規模宅地等の特例を適用することもできます。しかし、駐車場のように建物のない状態で貸している場合、状況によっては小規模宅地等の特例を適用することはできるかもしれませんが、借地権や借家権の割合の分の減額は受けることができません。

実際に市場価格1億円の土地で相続税のシミュレーションを行ってみます。

※自用地評価額が8,000万円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%として計算します。また、土地以外の資産が3,600万円、基礎控除額は3,600万円と仮定しています。

用途 相続税評価額 相続税
空き地 8,000万円 1,700万円
駐車場 4,000万円 600万円
ガレージハウス 3,280万円 456万円

【図表】シミュレーション:空き地/駐車場/ガレージハウスの場合の相続税額

空き地のままの状態の場合、8,000万円の相続税評価額にそのまま税率を掛けることになりますので、1,700万円と高額な相続税が発生してしまいます。

アスファルトを舗装した駐車場であれば、小規模宅地等の特例の適用は受けられますので、50%は軽減されます(舗装されていない状態のいわゆる青空駐車場は、空き地と同じ評価になりますのでご注意ください)。しかし、建物はないため、借地権や借家権の割合を減額することは出来ません。8,000万円の50%である4,000万円の相続税評価額に対して、600万円の相続税が発生します。

最後にガレージハウスなどの物件を建て、賃貸している場合です。この場合は、借地権や借家権の割合を減額した上で、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。8,000万円×(1–60%×30%×100%)で計算すると、減額後の相続税評価額は6,560万円となります。これに小規模宅地等の特例で50%の軽減を加味して、相続税票額が表の通り、3,280万円となります。このときの相続税が456万円です。

土地活用を行うことで、土地の相続税評価額が、8,000万円から3,280万円(▲59%)、相続税が1,700万円から456万円(▲73%)と大幅に安くなることがお分かりいただけると思います。

「土地活用で相続税対策」を進める場合の注意点

土地活用方法のひとつとして、ガレージハウスの賃貸を紹介いたしましたが、ガレージハウスやマンション、アパート、駐車場などの土地活用は、不動産への投資です。投資の結果、税金を節税できることはありますが、メインは投資であることを忘れないことが重要です。

つまり、その物件の収益性を一番に考えることが最優先だと考えています。たとえば、マンションを建てたものの、なかなか入居者が見つからず、空室の状態が続いてしまうと、賃貸割合が低くなってしまい、相続税の軽減効果も薄れてしまいます。それ以上に、入居者がいないことで賃料収入が少なくなり、投資としての収益性が低くなってしまう。インパクトとしては後者のほうが大きいでしょう。

そうならないためにも、土地のある地域性や周辺環境などを踏まえ、専門家の意見も聞きながら、自分で考え、リサーチすることも時には必要です。一般的に土地活用としてよく利用されているマンションやアパートですが、場所によってはガレージハウスのほうが需要が高く、収益性も高くなることもあります。もちろん逆もしかりです。

この記事の監修者

西口 孟志

西口孟志税理士事務所 税理士

1994年1月30日生まれ。京都府出身。 同志社大学経済学部卒業後、日本電気株式会社に入社。 その後、EY税理士法人等の複数の税理士法人にて、個人事業主から上場企業まで幅広く税務会計の支援に従事。 2022年に京都市にて、西口孟志税理士事務所を開業。

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